KAWAIのスコアメーカーで、ポケット版スコアから、指揮者用のフルスコアを作成する過程をまとめておきます。
使用しているのは、
スコアメーカー Platinum
です。
ポケット版スコアをスキャンする
ポケット版スコアは、A5あるいは、B6の小さいものですので、A4に拡大コピーしてスキャンした方がよいです。Platinumは認識度が高くなっているので、ポケット版スコアを見開きにしてスキャンしても「ページ登録」ステップで楽譜として認識してくれますが。A4に拡大コピーしてからスキャンした方がはるかに短い時間で楽譜認識してくれました。
「ページ登録」(スキャンして取り込む)ステップの次に「パート構成」ステップに進みます。
ここで、パートが正しく認識されているか確認します。
確認時にわかりやすくするために、「パートリスト」パネルの「パート名」を正しく入れていきます。「パート名」の下の「パートテンプレート」は、ここではまだ入れません。確認の途中で元に戻ってしまい、せっかく設定した「パートテンプレート」(楽器の音色に相当)が失われてしまう事故が何度もあったからです。これはあとからでもできます。
ページ毎にパートが正しいかチェックします。ここでは、本来Violin1のところが、Violincello に代わっています。その下も崩れていて、Part13 という新しいパートも現れています。これを正しく修正します。
左ページの Violin1 の五線上をクリックして、右ページの Violincello の五線上にドラッグしてドロップすれば、正しいパート名となり、五線の色も同じ色に変わります。この操作を間違っているパート名について実行します。
ページ毎にパートが正しく配置されているかチェックします。パート名の左の数字が番号順になっているかチェックするだけで確認がとれます。修正していくうちに、別名で認識されていたパートもなくなって、番号順になっていくのでわかりやすいです。
次に「五線記号」ステップ。これには、私のスペックの低いPCでは30分ほどかかりました。(15段、122小節、23ぺージ)
ここでは、小節線が正しく認識されているか、ト音記号、ヘ音記号が正しいかなどをチェックします。(青い表示の部分)”L”の表示が何なのかわかりませんが(マニュアルに見当たらない)、ざっと見たところ、小節線もト音記号、ヘ音記号も問題ないようなので次の「認識実行」ステップに進みます。
これには2時間がかかりました。途中アボートしそうになりながら何とかたどりつけました。
「認識中」ポップアップの標示が消えたり、画面が乱れたりすることもたびたびあります。そんな時なぜかタスクマネージャーを表示させると、再び表示されて処理が進みます。タスクマネージャーで、IEなど不要なタスクは停止して進めるのがよいでしょう。こうしてできあがったのがこのスコアです。
縮小してあるので見にくいですが、ほぼ元のスコアどおりに読み込まれているようです。これを元のスコアと突き合わせて誤認識を修正・追加・削除して仕上げます。完成したスコアからパート譜を作成することは簡単です。(別の記事で紹介)
この元のスコアは、長い休符のパートも表示されていたので、このままスコアにできますが、一般にポケット版のスコアは、長い休符の部分のパートは省略されて、段数が少なくなっているのがほとんどです。「不完全段落」と呼んでおきましょう。そのようなポケット版スコアから取り込んでみました。
「パート構成」ステップの終了したところでこうなります。
段落は正しく認識されていますが、左下と右上の段落が「不完全段落」です。左下の本来ストリングスセクションの部分が、フルート以下の木管セクションになっています。
やはり正しいパートをドラッグして修正しておきましょう。
マニュアルを見ると、不足しているパートを追加できるようになっています。しかし、やってみましたがうまく入りません。どうやらこれは、「不完全段落」にパートを追加する意味ではないようです。
おそらく、パート名さえ正しくなっていれば、次の「認識実行」ステップで、足りないパートの部分は、空欄で追加してもらえるものと期待して、「認識実行」ステップに進みました。ところが、
このように、不完全段落のままです。「認識実行」のオプションを見ても、「不足しているパートに空欄小節を追加する」というようなオプションもありません。これには失望しました。パート名を正しく修正してありますから、不完全段落部分にないパートに空白小節をつけることは簡単だと思うのです。あれこれと行き届いたスコアメーカーですから、ぜひやってほしいですね。
このような場合は、新規のフルスコアファイルを作り、コピーを繰り返して作り上げるしか手段がありません。
楽譜として認識したスコアをチェックする
音符の認識度はかなり良くなっています。音符の五線上の位置は90%正しいですが、臨時記号は音符と見まちがえたり、付点やタイ、スラーなどは線が細かったりするためか落ちていることがあります。入念なチェックが必要です。音符の五線上の位置と長さのチェックはもちろんですが、以下のようなチェックも必要です。
このあたりは音符が込み合っているので、かなり修正が必要です。クレシェンド、デクレシェンドの記号も落ちていますので書き足しが必要です。
ここで○で囲んでいるスフォルツアンド記号に注目してみます。マウスオーバーしてみると、オレンジに色が変わります。これは本来一段目の音符に付くスフォルツアンドなのですが、2段目の小節になっています。ブルーの四角枠が2段目の小節の領域で、この領域に記入されていることがわかります。これは、パート譜に変換したときに、1段目の小節から抜け落ちて、2段目に不要な記号としてついてしまいます。このような誤認識が時々あります。また、抜け落ちているため追加する記号も、うっかりすると段を間違えて記入することがあります。
このようなミスをなくすために、用紙のサイズを大きくするとよいのです。A4 から A3 にしてみましょう。
このように誤った位置に付いていることがはっきりします。ブルーの四角枠も上段との重なりが少なく間違いを減らすことができます。用紙の変更は、「楽譜の設定」画面の「用紙」で行います。
B3 まで使えるようになっています。
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