オーケストラの編曲をしていて悩むのが、移調楽器の調号の決め方です。私のように、バイオリンやピアノなどの実音楽器しか知らなかった者には難しい問題です。
そこで、私がようやく見つけた法則です。足し算だけで決まります。それを紹介します。すでにあったのかもしれません。
参考になったのはこのサイトです。
クラリネットB♭管とA管の違い | 東京クラリネット教室 (tokyo-clarinet-school.com)
クラリネットにはB♭管(ドイツ語読みではB(ベー)管)とA管があります。B♭管は、実音が記譜音より2半音低くなります。A管は、実音が記譜音より3半音低くなります。
半音B♭管についてこのような説明があります。
B♭管というのは、元々♭が2つついた調の楽器なので、それを打ち消すために♯を2つ背負っています。
つまり、B♭管はB-Dur(G-mol)の調の楽器ということですね。「それを打ち消すために♯を2つ背負っています」というおもしろい表現をしています。管楽器の人はこのような表現をするんですね。「打ち消すために」というのがなぜ「打ち消す」なのかわかりませんが、ここではこのとおりにとらえておきましょう。
この説明に従うと、オーケストラの曲がC-Dur(A-mol)の場合は、B♭管は♯2つ、つまりD-Dur(H-mol)の調号をつけるということになります。確かにそうですね。
オーケストラの曲がG-Dur(E-mol)では、B♭管は#2つ加えて#3つ、つまりA-Dur(Fis-mol)の調号、オーケストラの曲がF-Dur(D-mol)では、♭に♯2つ加えて♯1つ、つまりG-Dur(E-mol)の調号となります。
A管についてはこうなっています。
A管は、B♭管とは逆に元々♯3つの調の楽器ですので、♭を3つ背負っています。
A管はAから始まる調、つまり♯3つのA-dur(Fis-mol)ですから、「打ち消すために」♭3つというわけです。
オーケストラがC-dur(A-mol)ならば、A管は♭3つのEs-dur(C-mol)の調号ということになります。
これで法則が見えてきました。
- C-dur(A-mol)の調号なしを0(zero)として、
- ♯1つは+1、♯2つは+2・・・
- ♭1つは-1、♭2つは-2・・・
これを足し算していけばいいのです。
オーケストラがG-dur(E-mol)ならば、
B♭管は、(+1)+(+2)=(+3) A-Dur(Fis-mol)
A管は、 (+1)+(-3)=(-2) B-Dur(G-mol)
となります。
オーケストラがB-dur(G-mol)ならば、
B♭管は、(-2)+(+2)=0 C-Dur(A-mol)
A管は、 (-2)+(-3)=-5 Des-Dur(B-mol)
となります。
ホルンは、実音が記譜音より5度低いF管がほとんどですから、F-Dur(D-mol)つまり、♭1つですから、♯1つ(+1)を加えることになります。
ただし、ホルンは調号を書かない習慣があるようです。ですから、臨時記号で加える必要があります。