2月に入ってから上旬の1週間と、17日ごろから24日ごろまでの2度の長期寒波が続きました。日本海各地では、調査開始以来最大の積雪を相次いで観測しています。太平洋側でも西日本中心に積雪が観測されています。ここ伊豆でも、連日0度前後の最低気温を観測しています。
この寒波の原因は「極渦」の分離ということです。
極渦(きょくうず)は、北極や南極の850hPa 以上の対流圏に存在する低気圧なのですが、ここに高気圧が入ってきて分離することがあり、これが日本上空に入ってきて強烈な寒波をもたらしているのです。
ということで確認してみることにしました。
極渦分離の確認のため高層天気図を使う
それには高層天気図を使います。
気象庁から高層天気図が発表されています。
2月22日午前零時の北半球500hPa高度・気温天気図を見てみましょう。
北極を中心として、上空5000m付近の北半球の高層天気図です。
シベリアの上空に高気圧が入り込んで、北極上空の極渦(中心付近の水色の部分)から分離した低気圧が、日本の東方沖の太平洋上空にあります(水色の部分)。22日は寒波の終盤に近いのでこの位置ですが、始まったころは日本上空にあったことが予想されます。
さらに長期寒波と長引いたのは、偏西風が日本上空で蛇行していたことによります。
アジア500hPa高度・気温・風・等風速線天気図で日本付近の上空を見てみましょう。
同じく2月22日午前零時のアジアの上空5500m付近の天気図です。日本上空を西から東に偏西風が流れています。これが蛇行して樺太上空付近に寒冷の低気圧があります。蛇行しているので東に流れていきにくくなります。
これで長期寒波の原因が確認できました。
極渦の分離と温暖化は関係ある?
最近、北極の平均気温は世界の他の地域に比べて2倍もの速さで毎年上昇しています。
極渦は、北極・南極の上空で反時計周りのジェット気流によって囲まれています。このジェット気流が地球温暖化によって変形し、上のような極渦の分離となって現れてくると考えられます。上のように、間に暖かい高気圧が入り込むのもそのためでしょう。
北極の平均気温が急激に上昇しているので、偏西風の乱れにより極渦の分離となり、今回の長期寒波となったと考えてよいと思います。今回の猛烈な寒波も地球温暖化の影響と考えてよいでしょう。
極渦の分離は過去に何度も起きている
極渦の分離は今回だけでなく、過去に何度も発生しています。
記憶に残っているので大きいのは、2019年1月のアメリカ中西部と東海岸を襲った大寒波です。この時シカゴでは1月31日に-45℃を記録しました。
これだけでなく、毎年北半球の高緯度の地域で大寒波に見舞われています。この多くが極渦の分離によるものと考えられます。
上に示した500hPa北半球天気図でも、日本の裏側(グリーンランド付近と北欧付近)に極渦の分離とみられる低気圧があります。