前回、次のブログでスコアメーカーZEROに新しく追加された機能「歌を演奏する」を使った結果をブログで投稿しました。
このとき、歌の発声に不自然さが見受けられました。特に長く伸ばす音が急激にクレッシェンドになり、最後は突き放したような声になることが気になりました。あれからだいぶ時間もたっているので、改良されたかと思い、再度挑戦してみました。結果はあまり進歩が見られませんでした。
ボーカルで演奏する設定は前のブログに記載しましたので省略します。
今回試してみたのは、既にインストルメンツだけでYoutubeに公開している次の曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=SaSy1CEBWsQ
これに歌詞を付け加えて演奏してみました。それが次の音源です。
長く伸ばす音符がクレッシェンドしていって、最後に突き放すような感じで終わるところは改善されていません。まともに終わるところもあります。これが、母音によって違うのか、音域によるのかまだ分析できていません。また、高音で音が小さくなているところもあります。「ボーカル設定」によっては、音質として良いことがありますが、随所に不自然さがみられます。また、スコアメーカーZEROのサンプルにあります「ふるさと」を聞くと特に目立つように、音声が機械的です。不思議なことにサンプルのふるさとでは、長音の音量変化はまともです。何か特別な設定があるのでしょうか。
長い音がクレッシェンドされる部分に、デクレッシェンドを入れて、さらにプロパティーで「ベロシティー加算量」を最大に下げてみましたが、デクレッシェンドは反映されません。また、スコアメーカーで設定した強弱記号は、ボーカルには反映されないこともわかりました。
スコアメーカーのプロパティーには、「音色パラメータ」の編集機能があります。パートを選んでプロパティーを表示させます。
「音色パラメータ―」の「編集」をクリックすると下のような設定のポップアップが出ます。
ここで、「エンベロープ」や「ビブラート」などの設定ができるのですが、どのように設定を変えても、ボーカルには反映されません。このボーカル音源を調整する設定は、プロパティーにある下の「ボーカル設定」だけのようです。
調べてみると、カワイのWebページに「名古屋工業大学/株式会社テクノスピーチの歌声合成技術が使われています」とあります。つまり、このボーカル音源はスコアメーカーZEROに搭載された機能ではなく、プラグインで組み込んであるボーカル音源のようです。ですから、スコアメーカーZEROからは歌詞だけを引き継ぎ、ZEROの他の設定とは切り離されているようです。それにしても、「強弱ロック」だけは反映されるのは不思議です。
こちらに、カワイの開発経緯に関するインタビュー記事があります。
カワイの楽譜ソフトが歌うようになった!?どんどん進化するスコアメーカーZERO
しかし、ここで称賛されているほどこの音源はよくないというのが私の印象です。やはり、緑咲香澄のようなボーカロイドにはかないません。ただし、緑咲香澄は、緑咲香澄の声だけしかできません。その点では優れています。それにしてもテクノスピーチはなぜこんな不自然な作り方をするのでしょう。
曲によってはかなりまともに歌ってくれる場合もあります。しかし、常にまともな歌にならないことも事実です。
比較的まともな歌になっている曲を掲載しておきます。
さくら貝の歌
北上夜曲
男性の声はかなりまともです。ただ、機械的な感じは否めません。特に「海には海の悲しみや」のところの発音がおかしいし、「悲しみや」が「悲しみが」になっています。楽譜は確かに「や」なのですが。
あざみの歌