スコアメーカーZEROには、挿入した歌詞を演奏する機能があります。この機能を使うとボーカロイドツールとしても利用できて便利です。
しかし実際に使ってみると、不自然のところがあり、まだまだ改善の余地があります。ここでは、実際にスコアメーカーZEROを使用して歌詞の入った曲を演奏してみて困ったことと、その対処方法、そしてより自然な歌曲に仕上げるためのポイントを紹介します。
以前にも歌詞演奏に挑戦したときの投稿がありますので、使用法など基本的なことはこちらを見てください。
スコアメーカーZEROで歌を演奏してみる | レインボウ情報館 (nijinohashi.info)
スコアメーカーZEROのボーカルに再度挑戦してみる | レインボウ情報館 (nijinohashi.info)
長音符の発音が不自然(後ろにいくほど強くなる、クレッシェンドしてしまう)
歌詞を演奏していて一番困ったことが、2分音符や全音符などの長音符が不自然にクレッシェンドされてしまうことです。これは以前にも書きました。
例えばこの曲を演奏してみましょう。
演奏するとこのようになります。
フレーズの最後の長音を歌い放つような感じで聞けたものではありません。解決方法はないものでしょうか。
ビブラートが原因かと思い、ビブラートをなくすことを試みてみました。
設定は「ボーカル設定」で行います。上の演奏は下の「ビブラートの深さ」「ビブラートの速さ」設定となっています。
これを、下のようにビブラートをゼロにします。(左端にします)
これで演奏すると下のようになります。
やはり歌い放つ状況は同じです。味気ない演奏です。
スコアメーカーZEROのリファレンスマニュアルには次の記述があります。
歌唱について、以下の制限があります。
・装飾音符は発音しません。
・アクセント以外のアーティキュレーション、装飾記号、ペダル、センツァ、アルペジオは発音に反映されません。
・発音中のクレッシェンド(発音しながら音量を上げる)、デクレッシェンド(発音しながら音量を下げる)には対応していません。
。エクスプレッションには対応していません。
クレッシェンド、デクレッシェンドには対応しないということですが、それならば長音符を同じ音量で歌ってほしいのですが、勝手にクレッシェンドするのは困ります。むしろデクレッシェンドするのが普通ですのに・・・。
歌詞を演奏するのはKAWAIのスコアメーカーZEROではなく、名古屋工業大学/株式会社テクノスピーチ が開発した、日本語歌声合成エンジンです。
Techno-Speech, Inc. / 株式会社テクノスピーチ (techno-speech.com)
他にも歌声合成ソフトを開発・販売しています。
上の不自然なクレッシェンドは、テクノスピーチの日本語歌声合成エンジンの問題で、スコアメーカーZEROの問題ではありません。
この不自然なクレッシェンドを回避する方法
この不自然なクレッシェンドを回避するいくつかの方法があります。その最も有効な方法は、
女声⇔男声
子供⇔大人
のスライドを変えてみて、不自然でない音量を探すことです。歌の音域も関係するようです。
上の「忘れな草をあなたに」のキーを6段階下げて、「子供⇔大人」の設定を子供側に移動してみました。
これで、比較的自然できれいに聞こえるようになりました。これです。
次の音声は自然に聞こえて好きです。
北上夜曲 cover Scoremaker ZERO – YouTube
きれいな女性の声になります。男性の声ではこの声が良いようです。
あざみの歌 cover Scoremaker ZERO – YouTube
しかし、いつも同じ組み合わせでは音色が固定されてしまいます。気に入った音色があって使いたいけど不自然なクレッシェンドが入ってしまう場合、少しだけ改善する方法があります。
それは下のように長音を4分音符に分けてスラーを入れる方法です。
タイで結んでは結果は同じになりますので、スラーで結びます。結果は下のようになります。
少し改善されてはいますが、スラーで結んだ音のところに不自然さがあります。
男性の声にしたいけど女性の声になってしまった
ト音記号で音符を記入すると、男性の声を選んでも高い声になって女性の声に聞こえてしまうことがあります。
これを男性の声にするには2つの方法があります。
http://cmusic.kawai.jp/faq/qa.aspx?iid=722&sid=2
普通はこの方法で男性の声になるのですが。この時、音符が1オクターブ高くなって記譜されてしまうことがあります。それは、ツール>オプションの「音高の自動変換」にチェックが入っていることによります。
歌が合唱には対応しない
合唱を入れたいと思って挑戦しました。
スコアメーカーには、ミキサーパネルにリバーブとコーラスがあります。
リバーブ(REV)は残響の意味があり、カラオケなどでよく使われています。
コーラス(CHO)は、音程のピッチをわずかずつ変えて重ねることでコーラスの効果を出すものです。
しかし、これらをどのように変えても効果が反映されません。これは、株式会社テクノスピーチの日本語歌声合成エンジンが対応していないことによるものと思われます。
せっかく歌詞を演奏できるようにしたのですから、合唱を再現できるようにしてほしいですね。合唱曲のコールバックはできないということになります。
少しだけコーラスの感じを出すため、クワイアと重ねてみました。
スコアメーカーには、音色に「クワイア」という非常にきれいな音色を出すものがあります。このクワイアのパートとボーカルのパートを重ねると少しだけ合唱の感じを再現できます。
これを利用した作ったものが次のYouTube です。
夕映えの時計台 cover Scoremaker ZERO – YouTube
ほんの一部分ですが使われています。