オーケストラ曲の中には、パートによって異なる拍子の曲があります。例えば、ウォルフーフェラーリの「聖母の宝石」第一間奏曲です。
全体は6/8ですが、バイオリンのあの切ないメロディーの部分は、2/4と6/8が交互に出てきます。
このようなスコアをスコアメーカーで作るにはどうするのでしょう。使用しているのは、
スコアメーカー Platinum
です。
ヒントとなったのが、拍子記号のプロパティにある「独立拍子」というチェック項目でした。そこで、FAQで「独立拍子」を検索して得られたのが次のページです。
この記事を参考に実際にやってみました。全体の拍子は6/8で、変更するのは、ViolinⅠ と ViolinⅡ の一部を2/4にすることです。
まず、スコアの途中には拍子記号が入っていないので、いずれかのパートに6/8の拍子記号の挿入します。
次に、変更したいパート(ViolinⅠ)の拍子記号を選択して右クリックしてプロパティを開きます。「独立拍子」にチェックを入れます。その下に独立拍子の設定に必要な項目が表示されます。「独立分子」に2、「独立分母」に4を入れてエンターキーを押すと、以下のように、このパートだけが2/4に変更されます。
なお、このように拍子記号を選択してプロパティで変更できるのは、入力操作をして入れた拍子記号だけで、「新規作成ウィザード」などで設定した拍子記号(つまりスコアの先頭にある拍子記号)は変更できない仕様になっています。(そもそもクリックしても選択できない) 先頭から変更する場合は、入れ直す必要があるようです。
また、変更できるのは分数表示の拍子記号で、C などは変更できない仕様になっています。
続けてこの下の ViolinⅡ も変更します。
3連符以外の音符の配置もきれいに調整されています。3連符はちょっとおかしいですね。
変更したいパートはこのようにして変更できますが、変更の必要のない他のパートの6/8は表示されたままになっていますね。これはウザッたいですね。消したいパートの拍子記号を選択して削除すると、全てのパートの拍子記号が消えてしまい、変更した意味がありません。何とか消す方法はないでしょうか。
そこで、「マスク」を試してみることにしました。
今度は、消したいパートの拍子記号をクリックして選択し、右クリックでプロパティを表示して、「マスク」にチェックを入れます。
すると見事に消えました。めんどうですがこうして一つひとつ消していくほかはなさそうです。もすこし効率的な方法が見つかったら、この後に追記します。
検索機能を使って、6/8で検索してマスクしようと試みましたが、拍子記号で置換することしかできなくて、マスクすることはできませんでした。連符のマスクしかできないようです。
ここで、パート譜にした時の注意をひとつ。
独立拍子にしていないパートのマスクされた拍子記号のところは、不自然な空きがあります。
「マスク表示」をクリックすると、隠れていた拍子記号が現れますので削除して整えます。
なお本題とは反れますが、スコアメーカーの連符の扱いはすこしおかしいようです。
先頭の8分音符、16分音符を3連符にすると、つまって配置されて、上の6/8の音符とずれます。
さらに、6/8のままで記述するには、2連符を使う方法があります。実際この後の方で、フルートやオーボエ、ファゴットのパートに、このような記述が原譜にはあります。そこで、2連符にしてみました。
このように、連符の間隔が狭くなって前詰まりになり、後ろに空きができてしまいました。
※ この問題についてはKAWAIから回答がありました。下記に説明されています。
プロパティの中に、「合計時間(4分音符=480)」という項目があるので、これが関係するのかなと想像していましたが、マニュアルにないので意味がわからずに無視していました。やはりこの部分でした。さすがスコアメーカー。説明の中に「[画面]メニューの[エラー]にチェックが入っていることを確認します。」ということが書いてありますが、Platinumでは、このようなメニューが見当たらないので、すぐに3連符を選択してプロパティを開いて設定すればできました。4分音符を基準にして連符の部分が何倍になるか計算するのですね。2連符のところは、8分音符3個分だから、240×3=720、3連符のところは、8分音符2個分だから、2402=480となるわけです。
このようにプロパティで設定して、下のようなパランスのよい楽譜ができました。
しかし、これにもまだ問題があります。
右下の方にあるメニューの「エラー表示」をクリックして有効にしますと、小節が赤くマークされて、音符・休符の長さが長すぎることを表示しています。値をいろいろ変えてみましたら、360 でエラー表示が消えました。Vn Ⅰの最初の小節がこの状態です。赤のエラー表示がされた状態で演奏しますと、3連符の部分が長く演奏されます。実際の正しい長さはこの場合 360 ということになります。正しく演奏させるには、エラー表示が消えるように調整する必要があります。
連符のネストには対応していないようです。
まず3連符を設定して、この外側の2連符にしたい部分を選択して「連符」をクリックすると下記のようになって、先に設定した3連符は消えてしまいます。
やはり、2/4で記譜する以外方法はないようです。