今は晴れていますが、これから落雷や突風など大荒れの天気が予想されています。その原因は寒冷低気圧。寒冷渦とも呼ばれ、気象予報士試験にもよく取り上げられる現象です。
これは、4日午前9時の 500hPa高層天気図です。地上約5500m付近の500hPa面の天気図です。実線は等高度線です。高層天気図では、ある気圧面(曲面)を平面上に表現するのに、等圧線の代わりに等高度線を使います。
この寒冷渦は、偏西風の蛇行によって形成されたものです。2日前の 500hPa高層天気図では、このようでした。
偏西風の蛇行によって切り離されて寒冷渦が形成されました。そのため、切離低気圧とも呼ばれます。
最初の天気図を見ますと、日本海に低気圧があり、中心に「C」と書かれた気温の低いところがあります。拡大してみてみましょう。
点線は等温度線で、マイナスの数値が示されています。確かに中心が周囲と比べて低いです。
なぜ低気圧なのに気温が低いのか。空気が冷たいと重いので気圧は高くなりますから、おかしいです。気圧が低いので温度が高いはずです。気象予報士試験の教科書に従って検証してみましょう。
それは、これより上空の天気図の気温を見ればわかります。
これは、地上9000m付近の、300hPa高層天気図の一部で、上と同じ地点を拡大したものです。気温の数値を見るとわかるように、周りと比べて中心付近が高くなっています。つまり、500hPa面より上空は軽い空気があるために気圧が低くなっているのです。気象予報士試験の教科書どおりです。
しかし、地上と比べると5500m付近の上空は気温が低いために、地上が温められると上昇気流が盛んになり、積乱雲が発生して、雷雨やダウンバーストといった荒れた天気になります。
こうしているうちに、雲行きが怪しくなってきました。風も強くなってきました。やはり大荒れの天気になりそうです。